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【フラッグ世界選手権DAY3】女子、3位決定戦に進出。男子は11・12位決定戦へ


フィンランド・ラハティで開催されているIFAF主催フラッグ世界選手権は現地8月29日、大会三日目を迎えた。女子日本代表は決勝トーナメント1回戦のオーストラリア(10)戦に27対13、2回戦のイギリス(4)戦に40対34と勝利。国内各チームから選抜された選手による日本代表が世界選手権に出場するようになった2018年大会以降初となる準決勝進出を果たした。世界ランキング2位のメキシコと対戦した準決勝は31対40の惜敗。大会最終日の現地30日にオーストリア(5)との3位決定戦に挑む。

9〜16位決定戦に回った男子日本代表は、初戦のオーストラリアに31対12で勝利。2回戦ではイギリスと対戦し34対36の惜敗。最終日に11・12位決定戦に臨むことになった。

(※文中カッコ内数字は世界ランキング順位)

【女子日本代表】TWG王者メキシコをあと一歩まで追い詰める

女子日本代表は1日に3試合のハードなスケジュールとなった。決勝トーナメント1回戦のオーストラリア戦は、2回目の攻撃シリーズにQB八木智代からWR濵口芙由紀への先制TDパスで突破口を開くと、ダイレクトスナップを受けたWR中畑友里からWR近江佑璃夏へのTDパス、QB磐田千紘からWRに入った八木へのTDパスと3シリーズ連続で得点。守備はDB上松あかり、山本深由奈がオーストラリアのTD狙いのパスをことごとくカット。ゴール前に迫られた場面ではLB/CB樋口智子が素早いフラッグプルでエンドゾーンを守り抜き、前半を21対0で折り返した。後半に入っても主導権を渡さなかった日本代表は27対13で1回戦を突破した。

ゴール前でのフラッグプルなど、堅守を見せたLB/CB21樋口智子

準々決勝のイギリス戦は一進一退の攻防となった。前半はQB磐田からWR近江へのパスを柱に前身し得点を重ねるも、イギリスも日本との身長差を生かした高さのあるパスで応戦。前半はTFP差の20対21で終了したが、日本代表にとっては今大会初めてリードされての折り返しとなった。

後半も緊迫したシューティングアウトが繰り広げられた。しかし、試合が大きく動くきっかけとなったのが34対34で迎えたイギリスの攻撃時だった。残り時間を考えると、ここで得点を許すと厳しい展開となる日本代表守備は、第3ダウンでDB齊藤蓮佳が、第4ダウンにはDB上松が立て続けに相手のパスを好カット。残り1分24秒で攻撃権を得ると、QB磐田からWR森永瑚雪らへのパスで前進し、最後はWR近江へのTDパスで逆転に成功。40対34で勝利して準決勝進出を決めた。

イギリスの第4ダウンのパスをカットし、逆転シリーズをお膳立てしたDB1上松あかり(写真中央)

女子日本代表のベスト4進出は2018年に複数チームから選抜された日本代表を結成するようになってからは初の快挙。単独チームが日本代表として出場していた時代は、04年の第2回大会で東京都立保健科学大学が3位、06年の第3回大会で富士通マロンティアーズが準優勝を果たしている。

準決勝の相手は強豪のメキシコ。2022年に開催されたザ・ワールドゲームズ(TWG)では米国を破って女王の座に輝いている。日本代表も初戦で対戦し、13対34で敗戦を喫している因縁の相手だ。

試合会場にはメキシコの応援団の大きな声援が響きわたっていた。

日本代表は最初の攻撃機会で、メキシコ守備の素早くタイトなカバーにパスが思うように決まらない苦しい立ち上がりとなった。守備もメキシコのスピーディーかつ、フィールドを広く使った攻撃に振り回され、メキシコ優位な序盤となった。

流れが変わったのは12対21で迎えた前半終了間際。メキシコのTDを狙ったパスをDB山本がインターセプト。残り31秒で得た攻撃機会をQB磐田がWR中畑、八木、近江、森永へと立て続けにパスを決めてゴール前3ヤードに迫ると、終了3秒前に森永へのTDパスをヒット。19対21と2点差に追い上げて折り返した。

後半もメキシコが先行する展開は変わらなかったが、主導権は日本代表が握っていた。相手の攻撃スタイルに順応してきた守備陣はLB北﨑あかり、金谷明咲妃らの鋭いラッシュでメキシコのQBにプレッシャーをかけて失投を誘発。メキシコに得点を許さないシリーズを作ることができ、25対27と2点差でついていく展開が続いた。残り4分にメキシコにTDを許し25対33となった直後には、QB磐田がWR濵口への38ヤードTDパスを決めて再び2点差に迫った。

しかし、その後メキシコは時間を使いながら攻撃を展開し、終了50秒前にTDで加点。日本代表は反撃を試みたが、シリーズ更新をすることができず、34対40の惜敗となった。

「メキシコ相手にここまでやりきった自分達をたたえよう。ファイナル進出まで本当にあと少しだった。みんなは全部出し切った。本当によくやった」

桑原昂司HCは、涙を見せる女子日本代表を称賛した。

そして、涙を見せながら会場を去る日本代表に、試合会場を取り囲んでいた多くの観客から「グッドゲーム、ナイスゲーム」という温かい声援と大きな拍手が送られていた。

すべての試合を通じて、勝負どころの活躍が光った主将WR7近江佑璃夏

【男子日本代表】試合終了3秒前、イギリスに逆転惜敗

「チームとして気持ちの切り替えに時間がかかった」

男子日本代表主将DB/C植松遼平は、前日の決勝トーナメント1回戦のデンマークの敗戦のショックから、チームの士気を立て直す難しさを口にしていた。

9〜16位決定戦に挑んだ男子日本代表は、まずはオーストラリア戦。前半から31対12と試合を優位に進めながら、どことなく重い雰囲気が漂っていたが、そんな空気を払拭したのはDB磯野元浩だった。後半、粘るオーストラリアのパスをフィールド中央付近で見事にインターセプトし、相手の追撃を断ち切った。その後も得点を重ねた日本代表が31対12で勝利した。

オーストラリアの反撃を断ち切るインターセプトを決める活躍を演じたDB7磯野元浩

続くイギリス戦は思わぬ試合展開となった。この日もWR木下典明、RB伊藤耕世を中心とした安定した攻撃で得点を重ね、前半を20対16とリードして折り返した。しかし、イギリスも常に射程圏内にとらえる点差で粘っていた。

後半も互いにTDを重ね、34対30と日本代表がリードして迎えた残り50秒。ここで日本代表が投じたパスをイギリスにインターセプトされ、しかもゴール前1ヤードまでリターンを許してしまった。イギリスは時間をコントロールしながら残り3秒でTD。日本代表は34対36で痛恨の逆転負けを喫し、最終日の11・12位決定戦でドイツと対戦することが決まった。

イギリス戦、攻撃の柱となったWR18木下典明