【フラッグ世界選手権DAY2】女子が決勝T進出を決める。男子は決勝T一回戦惜敗
フィンランド・ラハティで開催されているIFAF主催フラッグ世界選手権は現地8月28日、大会二日目を迎えた。初日の2連勝ですでに決勝トーナメントを決めていた男子日本代表は、グループリーグ3戦目のフランスに27対25で勝利。グループH首位で決勝トーナメント進出を決めた。しかし、午後に行われた決勝トーナメント一回戦はグループGを1勝1敗で勝ち上がったデンマーク(11)と対戦し19対20の惜敗。9〜16位を決める順位決定戦に回ることが決まった。
グループCの女子日本代表は、ブラジル(13)に34対21で勝利し決勝トーナメント進出を決定。グループ最終戦のドイツ(8)に28対31と惜敗したが、メダル獲得への道はつながっている。
【男子日本代表】デンマークの壁を越えられず。無念の惜敗
グループ戦3節のフランス戦は、お互いに決勝トーナメントへの進出が決まっているチーム同士の対戦。決勝トーナメントでの再戦の可能性も意識した取り組みになった。
男子日本代表はQB森凜太朗が安定したパス攻撃を披露。RB伊藤耕世、WR木下典明へのTDパスでリズムを作った。フランスもロングパスを通し、お互いに得点を積み重ねる展開となった。最後は日本が競り勝ち27対25。グループHを3戦全勝1位通過で決勝トーナメントへの進出を決めた。
決勝トーナメントの対戦国は複雑なレギュレーションによって決定される。当初はフランスとの再戦という情報もあったが、対戦相手がグループGのデンマークに決まったのが試合の4時間前だった。想定外の相手に、日本代表の分析ユニットが急いでデンマークの情報を集め、選手は予選の映像をかぶりつくように見ながら、デンマーク戦の対策を練った。
「これまでそれぞれが積み上げてきた技術や経験を発揮する場がやっときた。ここまでチームを支えてくれてくれた関係者の皆様に勝利で恩返しをしよう」
岩井歩HCが試合前のハドルで選手たちに発破をかけた。試合はQB森からWR松尾良知へのTDパスで男子日本代表が先制。デンマークにすぐに追いつかれたが、この後のシリーズでスペシャルプレーが飛び出した。インサイドレシーバーに位置したRB伊藤がジェットモーション時にダイレクトでスナップを受け、反対サイドのレシーバーに位置したWR中山勲にトス、中山が再び伊藤にハンドオフのフェイクをして守備を翻弄すると、そのままエンドゾーンに駆け込んでTD。TFPの1点コンバージョンのパスも捕球した。
「2021年のイスラエル大会でデンマークに大敗していたので今日は絶対に見返したかった」
過去の対戦の雪辱に燃えたWR中山は、日本代表の成長をデンマークに見せつけた。QB森はRB伊藤、WR池井勇輝、六川永一ら、豊富なターゲットに投げ分け、相手に的を絞らせないパス攻撃を展開した。
一方、デンマークは高さを生かしたパスとサイドライン際のパスを多用。時間消費を意識した攻撃を展開し、日本代表の攻撃機会を減らしながら、いつでも逆転できる点差を維持して追いかける展開を作っていた。
19対13と日本代表が6点リードして迎えた終盤のデンマークの攻撃。日本代表守備は2分30秒粘ったが、残り3秒で逆転TDを許してしまった。男子日本代表は残された3秒でロングパスTDを狙ったが決まらず。メダル獲りの夢は潰えた。
「これまでも世界の強豪の前に日本は敗戦を喫してきた。今回こそはその世界のハードルを越えたかった。いつか必ず越えられると信じている。気持ちを切り替えて明日以降の順位決定戦で一つでも良い順位を持って帰ろう」
岩井HCは、悔しさを噛み殺しながら、残された戦いに向けて顔を上げようと、下を向く選手達に呼びかけた。
【女子日本代表】LB/DB北﨑インターセプト&QBサックの活躍でブラジルに競り勝つ
女子日本代表は朝8時からグループ第3戦のブラジル戦に臨んだ。前日の試合の疲労がまだ抜けきっていない中、早朝からの試合ということもあり、ウォームアップ時はいつものキレが感じられなかった。
しかし、試合が始まるとすぐに不安は完全に払拭された。QB磐田千紘はWR近江佑璃夏、八木智代、濵口芙由紀らに次々とパスを通した。
「子どものことを考えて走りました。キャッチする瞬間も子どものことを考えています」
34ヤードロングTDパスを捕球した濱口は、日本で留守番をしている子どもの存在が、大事な場面でのプレーの支えになっていると言う。
その後はリードする女子日本代表に食い下がるブラジルという展開になったが、LB/DB北﨑あかりのQBサックとインターセプトでブラジルの反撃を断ち切った。34対21で勝利した女子日本代表は決勝トーナメントへの進出を決めた。
グループ最終戦、全勝対決となったドイツ戦は、前半、14対8と日本が先行した。しかし、後半最初にドイツに一時逆転を許して以降は、互いにTDする度にリードが入れ替わる緊迫した試合展開となった。
女子日本代表は終了まで2分を切ったところでQB磐田からC中畑友里へのTDパス、磐田から濱口への1ポイントコンバージョンを決めて28対24とリード。しかし、終了50秒前にドイツに逆転TDを喫し28対31。残されたわずかな時間で逆転の狙ったロングパスが失敗に終わり、3点差の惜敗となった。
グループリーグを3勝1敗2位で通過した女子日本代表は、現地29日、決勝トーナメント一回戦でオーストラリア(10)とベスト8進出を懸けて対戦する。