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【フラッグ世界選手権DAY1】日本代表、男女共にメダル奪取に向け快勝発進


IFAF主催フラッグ世界選手権が、フィンランド・ラハティで8月27日に開幕した。今大会は、日本を含む男子32チーム、女子23チームが参加。男子は8つのグループの各組上位2位までの16チームが、女子は5つのグループの各組上位3位までと最も成績のよい4位チームの計16チームが決勝トーナメントに進出し優勝が争われる。
(文中かっこ内数字は出場国中のランキング)

日本代表は男子、女子共に快調なスタートを切った。グループHの男子日本代表(9)はクウェート(24)に43対18の大勝、2戦目のアルゼンチン(25)にも42対7で大勝し、早々に決勝トーナメント進出を決めた。

グループCの女子日本代表(3)はポーランド(23)に47対19で、開催国のフィンランド(18)に33対6で快勝。決勝トーナメント進出決定は2日目の結果に持ち越されたものの、順調な一歩を踏み出した。

【男子日本代表】QB森が6TDの活躍。クウェートに大勝

「これまでの経験を全部出し切ろう。必ずメダルを取って日本に帰ろう!」

男子日本代表主将C/DB植松遼平が試合前のハドルで全員の意志と目的を確認した。初戦のクウェート戦、試合会場のパジュラハティフィールドに立った男子日本代表は緊張の面持ちだった。

しかし、試合が始まると男子日本代表が躍動した。最初の攻撃は、QB森凜太朗がWR松尾良知、池井勇輝、木下典明らに次々とパスを決めて前進し、C六川永一へのTDパスで先制した。

「序盤は確実性の高いパスを選びました」

QB森は緊張をほぐすために自信がある短いパスを中心に攻撃を組み立てたと試合後に説明した。このシリーズでリズムを作った森は、WR木下、松尾らをターゲットに計6TDパスを決める大活躍を演じた。

クウェート戦で6TDパスを決めて快勝を演出したQB14森凜太朗

「フラッグフットボールは、基本的に得点を取り続けるのが当たり前のスポーツです」

WR木下はフラッグフットボールの競技の構造を説明する。得点を挙げ続けることが基本となっているが故に、相手の得点機会を一つでも多く阻止することが勝利につながる。その点においても初戦の男子日本代表の出来は満点だった。

DB藤本将司、植松遼平ら、セカンダリーがパスに素早く反応し、ラッシュをかけたLB/CB竹並快がQBのフラッグをプルしてクウェートの最初の攻撃をいきなり阻止した。

クウェート戦でQBに再三プレッシャーをかけたDB9竹並快

その後も竹並の素早いラッシュでQBにパスターゲットを探す余裕を与えず、DB陣も短いパスに素早く反応してリズムを作らせなかった。さらに、クウェートにTDを奪われた直後には、DB植松が相手のパスをインターセプトに仕留めて相手に復調のチャンスを与えなかった。

クウェート戦でインターセプトを決めた主将DB/C15植松遼平

大勝の勢いを駆った男子日本代表は、初戦の4時間後に行われたアルゼンチン戦にも42対7と完勝。早々にグループHの2位以上を確定し、決勝トーナメント進出を決めた。

■試合後コメント
C/CB六川永一
「チーム全体的に初戦の硬さは仕方ないと思っていたので、まずはテンポを作るための短いパスを通す意識をチームでしていました。試合中盤になると本来の日本代表の攻撃が戻ってきたので、良いテンポで攻撃をすることができました」

LB/CB竹並快
「格下の相手ではありましたが、ミスをせずに確実にやるべきことをやろうと意識していました。特に次のフランス戦ではいかにミスをしないか、それが勝敗を分けるポイントになると思います」

【女子日本代表】堅守日本、DB金谷、山本がインターセプト量産

女子日本代表の初戦は世界ランク23位のポーランド。世界ランク3位の女子日本代表にとっては格下の相手だ。しかし、何が起こるかわからないのが国際大会。試合前に整列した時には、体格の大きなポーランドの選手たちを目の当たりにし、女子日本代表の表情も緊張を少なからずたたえていた。

しかし、女子日本代表は1プレーでその緊張感を払拭した。QB磐田千紘がWR近江佑璃夏に先制ロングパスTDをいきなり決めた。

「この試合のために準備したプレーでした」

近江は試合後、先制ビッグプレーは狙って準備していたものだと明かした。このTDでアドバンテージを握った女子日本代表だったが、ポーランドも体格の大きさを生かしたプレーで食い下がり、均衡状態が続く試合展開となった。

流れを変えたのは、DB金谷明咲妃のインターセプトだった。12対7の状況でキャッチアップを狙うポーランドのパスに飛びついた金谷は、攻撃陣にゴール前14ヤードからの攻撃機会を提供。これをQB八木智代からWR近江へのTDパスにつなげてリードを広げた。

ポーランド戦でモメンタムを掴むインターセプトを決めたCB5金谷明咲妃

「事前のコーチからの指示で、狙えるパスだという意識があったので思い切りやり切れました。流れを変えるインターセプトという形で結果を示すことができたことは嬉しいです」

代表メンバーが発表された当初は補欠登録で、大会直前に負傷者と入れ替わって日本代表に昇格した金谷は流れを引き寄せるビッグプレーができたことに笑顔が溢れた。また、TDパスを決めた八木は、レシーバーとしても2TDを挙げる活躍。47対19の大勝の立役者の一人となった。

QB/WR兼任の八木智代は、パス投球と捕球それぞれでTDを挙げる活躍だった

開催国フィンランドとの対戦は、双方共に守備が奮闘する接戦になった。QB磐田はWR中畑友里、濵口芙由紀らにパスを決めてゴール前に迫るものの、エンドゾーンに届かない場面が続いた。

もどかしい展開を救ったのが、女子日本代表の守護神、DB/LB山本深由奈だった。フィンランドの攻撃に対して、5インターセプトを記録した女子日本代表守備だが、そのうち2つが山本によるものだった。山本は初戦のポーランド戦と合わせて計4インターセプトを奪う大活躍だった。

フィンランド戦で2インターセプトを決めたS/CB山本深由奈

女子グループCは、日本とドイツが2勝で決勝トーナメント進出争いを一歩リードし、ブラジルが1勝1敗でこれを追う展開。2日目は、女子日本代表がドイツ、ブラジルとの直接対決で決勝トーナメント進出を争う。

■試合後コメント

S/CB山本深由奈
「ビデオでスカウティングしている時は、体格差には少し気持ちで圧倒されたところはありましたが、実際に対面して動いていくと、私たちでも十分にやっていけるという自信を持てました。明日以降も私たちがこれまでやってきたことをそのまま発揮できるように準備していきます」

桑原昂司ヘッドコーチ
「この大会に向けて十分に準備をして臨むことができました。スカウティング通りのプランを遂行できることに対して選手は少し気持ちが先を行っていたところがあったので、明日は今日の反省点を調整して不安のない状態で迎えたいと思います」