【TWG2022ゲームレポート】格上ブラジルに終了プレーで逆転勝利。機転が生んだ決勝TD
米国アラバマ州バーミンガムで行われているザ・ワールド・ゲームズ(TWG)、フラッグフットボール競技は7月11日に予選を終了。女子日本代表は、ブラジルとブロック2位を懸けて対戦。終了プレーで逆転TDを挙げる接戦の末、25対20で勝利した。
メダル獲得を目標にする女子日本代表にとって、世界ランク4位、昨年12月世界選手権でも14対20と接戦の末に敗戦を喫したブラジルは、乗り越えなければならない第一関門だった。
序盤は互いに守備が奮闘し、0対0の緊迫した状況が続いた。先手をとったのはブラジルだった。短いパスをつないだブラジルがゴール前に迫り、日本との身長差を突いた高いパスで先制TD(トライ失敗)を挙げた。
日本はこの直後にQB磐田千紘がWR近江佑璃夏へ立て続けにパスを決めて前進。WR中畑友里へのパスでシリーズ更新、このシリーズはWR近江への同点TDパス(トライ失敗)を決めて、前半終了間際に6対6の同点に追いつき前半を終了した。
後半最初の攻撃では、WR近江への2度のパスでシリーズを更新し、ゴール前13ヤードに進行。しかし、反則で一旦は自陣まで下がったが、磐田からC佐藤由樹へのロングパスでTD。トライの1点コンバージョンも近江へのパスが決まって13対6とリードすることに成功する。
しかし、ブラジルも日本の守備選手が届かない高いパスを柱に再びTD(トライ1点成功)、13対13の同点となった。
以降、ブラジルはランを織り交ぜた攻撃を展開。しかし、ここで日本守備にビッグプレーが生まれた。ブラジルのボールキャリアがランに出たところから突然投げたパスを、目前に迫っていたDB金谷明咲妃がインターセプト。敵陣21ヤードの好位置を得た日本は、QB磐田が佐藤、近江にパスを決め、WR三宅への3ヤードTDパスにつなげた(トライ失敗)。
19対13とした日本だが、直後にブラジルはロングパスを決めて同点TDを上げる。しかも1ポイントコンバージョンも成功。土壇場で19対20と1点リードを許してしまう。残り時間は1分24秒だった。フラッグフットボールは残り2分は時計は止まるものの、すべてレディ・フォー・プレーで計時が開始されるため、時間をコントロールするのがとてもむずかしい。
しかし、QB磐田は近江、中畑、近江と立て続けにサイドラインパターンのパスを決めてシリーズを更新。反則で一旦は自陣に下がったところから、QB磐田がターゲットを冷静に探して、右サイドライン際を走るC佐藤にパスを放つと、佐藤はサイドラインにギリギリ足を残して捕球し、ゴール前9ヤードに進む。残り時間は4秒。文字通り最後のプレーで、QB磐田は左フラットに出た佐藤がワイドオープンになったのを見つけるとしっかり胸にパスを送り込んで逆転TDとなった。
本来、佐藤はもっと浅いルートをとるプレーのデザインだったが、状況に応じてエンドゾーンに届くようにルートを変更。さらに、そのゾーンをカバーする守備選手を、WR中畑がしっかりと引きつけたことによって佐藤がワイド・オープンになった。役割の徹底と機転、そして実行力が生んだ決勝TDだった。
Bブロック2位となった日本は、準決勝進出を懸けてAブロック3位のオーストリアと対戦する。
■試合後コメント
DB金谷明咲妃
(インターセプトは)自分でも何が起こったかわかりませんでした。相手がランに出てきたのでフラッグをとりに行ったのですが、突然投げてきたのでとっさに手を挙げたらボールが手に入ったという感じです。相手は高いパスを投げてきて、狙われている感覚がありました。でも、心強い仲間がいるので、視界を遮るなどできることをして、とにかく諦めずにしつこくついていきました。オーストリアは強い印象はありますが、しっかりスカウティングして、どんどん前で勝負する日本のプレーができればなと思っています。
QB磐田千紘
前の2戦(対メキシコと対イタリア)は、ショートパスがうまく決まらずにリズムを掴めず、ずっとどうしようかと考えながらプレーをしていました。ブラジル戦の前はロッカーで待っている時から楽しみでゾクゾクしていて、楽しみな気持ちで臨むことができました。オーストリアのQBは世界選手権で見た時にとても上手なQBだという印象を受けました。ある程度得点をとられてしまうことを想定して、攻撃がどれだけ得点できるかだと思っています。