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【World Games 2022】メダル奪取を目指します
フラッグ女子日本代表主将C佐藤由樹


7月7日から15日の日程で行われるザ・ワールド・ゲームズ(TWG)2022バーミンガム大会に臨むフラッグフットボール女子日本代表。主将としてチームを率いるC/LB佐藤由樹は、元々6人制タッチフットボールの選手だった。タッチとフラッグ、今も両方をプレーする佐藤に、2つの競技の違いと、フラッグフットボールをプレーしてよかったこと、そして、直前に迫ったTWGでの目標を聞いた。

――これまでのスポーツ歴を教えてください?

佐藤 中学、高校でバスケットボールをしていました。大学から6人制のタッチフットボールをはじめました。

――タッチフットボールをしようと思ったきっかけは?

佐藤 大学でもバスケットボールを続けようか迷っていたんですが、高校であまり試合に出場できていなかったこともあって、諦めずに続けるか迷っていました。そんな時に予備校の先生が同じ大学の先輩でタッチフットをしていたんです。『サッカーとバスケットボールとハンドボールを足しで3で割ったようなスポーツだよ』と、教えてもらい、バスケットボールの経験も生かせるかもしれないと、体験しに行ったのが始まりでした。その先輩はのせるのがうまかったこともあるのですが(笑)、パスキャッチしても褒めてもらえるし、足の速さを生かしてパスラッシュするだけでもチームに貢献できるっていうところに惹かれました。私はバスケットボールをしている時、ドリブルが苦手だったので、器用ではない自分でも活躍できるかもしれないと思ってはじめました。

――フラッグフットボールをプレーしてみようと思ったきっかけは、世界大会の日本代表トライアウトだったと聞いています。フラッグフットボールとタッチフットボールの違いや、アジャストするのが大変だったことはありますか?

佐藤 まず、フィールドの大きさがまったく違います。フラッグフットボールのフィールドは横幅が25ヤードです。縦は70ヤードで、そのうち両端の10ヤードずつがエンドゾーンです。ハーフラインは25ヤードです。プレーをする上でタッチと一番違いを感じるのはフィールドの幅ですね。タッチは40ヤードあるので、最初のうちはタッチの感覚でプレーしてしまってはみ出してしまうこともありました。シリーズ更新が1回だけなのも大きな違いです。攻撃は自陣5ヤードから、第4ダウンまでにハーフラインを超えれば、次はそこから4回の攻撃権を得られます。つまり、1シリーズ最大でも8プレーで、スピーディーに試合が進みます。

――フラッグのここが面白いっていうのは何かありますか?

佐藤 まず海外のチームと対戦できる機会があることです。世界中のレベルが高い選手と対戦できることはとても楽しいです。攻撃する機会がたくさん回ってくることも面白いところです。1シリーズで8プレーしかできないので、ボールコントロールという考え方はありません。どれだけたくさん得点するかというシンプルな思考でプレーできるのも面白いと思います。

――フッラグフットボールではどのポジションをプレーしていますか?

佐藤 攻撃はC、守備はLBです。CはQBにボールをスナップして、自分もパスターゲットになるポジションです。スナップを直接受けた選手(通常はQB)はそのままではスクリメージラインを越えてランをすることができません。誰かに手渡しすれば渡された選手は走ることができます。一回誰かに渡して、またQBに戻したら、QBはランもパスも両方できることになります。

――自分の生活の中に仕事とプライベートの他にタッチフットボールやフラッグフットボールがあることは佐藤さんにとってどんな影響を与えていますか?

佐藤 目標に向かって取り組んでいる実感が、すべてのモチベーションになっています。今回、TWGという素晴らしい機会で戦えるということが、練習やトレーニングの時間を確保するために『仕事をきっちり、早く終わらせよう』とか、仕事以外の時間も効率的にうまく使いながら生活していこうというモチベーションになっています。実は1年前に競技から離れた時期がありました。時間的なゆとりができたので、旅行に行ったり、植物を観たり、色々やりたかったことをやってみたのですが、全部一瞬で終わってしまい、物足りなさを感じました。生きるモチベーションというか、エネルギーが薄れてしまって。それでまたプレーを始めたんです。タッチもフラッグも、好きなフットボールに携わっている時間は、自分にとってはとても意味のあるものなのだと実感しました。

――普段はどんな仕事をされていますか?

佐藤 ネスレ日本株式会社で商品のマーケティングの仕事に携わっています。

――職場の方々は今回のTWGに出場することについてどんな反応でしたか?

佐藤 ものすごく暖かく応援してくださっています。TWGの遠征期間のお休みを申請した時にも快諾してくださいました。JAFAが実施してくださったフラッグフットボール日本代表支援のクラウドファンディングの情報も、上司の方がご自身のSNSで拡散してくださいました。職場でも『キャプテン』と呼ばれています(笑)

――クラウドファンディングは1300万円以上の支援が集まりました。その後、練習環境変わりましたか?

佐藤 JAFAにミニキャンプの日程を増やしていただけませんかと打診したところ、今まで月に2回だったのが、5月と6月は毎週末、練習を行うことができました。支援してくださった皆様に本当に感謝しています。

――フッラグフットボールをプレーしてよかったことは?

佐藤 様々な人との繋がりが増えたことです。タッチフットボールだけをしていたら出会えなかった人たちに出会えたなと思っています。一緒にフラッグフットボールの日本選手権に出場していた子たちが、今年、タッチフットボールの大会にも出場してくれました。タッチフットボールの普及にも少し貢献できたのかなと思っています。それに、自分自身もフラッグフットボールで世界大会に出場できて、同じ競技に取り組む世界中の人たちと知り合えたことは普通ではなかなか得られない体験だと思います。

――TWGで海外のチームと対戦するために、練習ではどんな対策をしましたか?

佐藤 海外のチームには背が高いラッシャーがいるので、その部分を男子日本代表の選手や、サポートメンバーに協力してもらって練習台になっていただきました。実力を比べると、女子の海外の選手よりも男子日本代表の方がはるかにうまいので、男子日本代表との練習はともていい対策になっていると思っています。

――TWGでどんな結果を残したいですか?

佐藤 メダルを取ることが目標です。メキシコ、イタリア、ブラジルとの予選リーグを1位か2位で通過しなければなりません。その上で自分たちより順位が上のパナマやオーストリアに勝つことを目指して練習をしてきました。私はこの競技と出会って、自分でもチームに貢献できるんだという自己肯定感を育んでもらいました。1人でも多くの方にこのスポーツに出会ってほしいという思いを常にもっています。TWGは広く競技を知っていただけるチャンスでもあると思っています。今回の日本代表は大学1年生の若いメンバーも多くいます。彼女たちが将来、私の立場になった時、手本にしてもらえるような主将でありたいと思っています。教えることは得意ではないですが、何かが伝えられればいいなと思っています。

TWG2022フラッグフットボール(大会公式サイト/英語)
https://twg2022.com/flag-football/