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【World Games 2022】QBに圧力を与え全員で守る
フラッグ女子日本代表R北崎あかり


フラッグフットボール女子日本代表の北崎あかりのポジションはラッシャーだ。攻撃がボールをスナップした瞬間にQBにプレッシャーをかけることが主な役割。スタートのスピードとQBの逃げ道を塞ぎながら追い詰める賢さが必要とされる。幼少の頃からフラッグフットボールに取り組み、先日、ミシガン大学で行われたJUNIOR FLAG FOOTBALL INTERNATIONAL CUPにU17女子選抜としても出場。7月7日から米国アラバマ州バーミンガムで行われるザ・ワールド・ゲームズ(TWG)2022に向けて準備万端の北崎に、大会に向けた意気込みを聞いた。

――フラッグフットボールを始めたのはいつ頃ですか?

北崎 小学3年生のころから明治学院大学のリトルセインツというチームで始めました。当時、体験会のお誘いを受けて友達と参加したことがきっかけです。ボール遊びのような体験会でしたが、雰囲気が楽しくて「プレーしてみたい」と思いました。私が中学1年生の頃、慶應のガールズチームとリトルセインツの女子チームが合併して、現在所属しているヒューペリオン東京の前身チームができました。現在の名前になったのは、高校1年生の頃でした。

――日本代表でのポジションは?

北崎 ラッシャーを務めています。ヒューペリオン東京ではレシーバーもプレーしているのですが、日本代表ではラッシャーのみです。

――他の競技経験は?

北崎 幼稚園から小学校までは水泳、中学生の頃に陸上競技のハードル、高校ではバレーボールをしていました。

――ラッシャーを務める上で、経験した競技が生きていることはありますか?

北崎 ハードルは最初の数歩ですべてが決まるとよく言われます。1代目まではおよそ7歩なんですが、そこが崩れるとずっと崩れたリズムで走ることになってしまいます。フラッグフットボールもラッシュもスタートが大事という点では通じるものがあるなと思っています。バレーボールは周囲を見ることの大切さとか、しっかりとプレー中にも声を出してコミュニケーションをとっていくことの大切さを学んで、それをフラッグフットボールにも生かしています。

――相手のQBにプレッシャーをかけるラッシャーは、付く位置や確度が難しいように見えますが?

北崎 相手の体型にもよりますが、自分なりのノウハウは持っています。日本代表のノウハウとは少し違うところもあり、よく指摘されています(笑)。監督から理由を聞くと『なるほど』と納得できます。日本代表の練習を通じて、自分のプレーの幅は広がっていると思います。

――日本代表は以前から目指していましたか?

北崎 昨年の4月から今年の2月末まで、大学受験の都合で一度フラッグフットボールから離れていた時期がありました。受験が終わった後、すぐに代表が発表されるとわかっていたので「選ばれないだろうな」と思いながらも、練習にはなるのでトライアウトに参加しました。その結果、代表になることができました。今の代表は昨年12月の世界選手権イスラエル大会に出場したメンバーを中心に構成されているので、私が代表への合流が一番遅かったんです。当初はついていくのに必死でしたが、負けたくないという気持ちは持っています。

――練習以外で、普段からフラッグフットボールのためにしていることは?

北崎 最近は動画を多く見ています。1日に2〜3時間は見ていると思います。自分の出場した試合のものや、世界選手権イスラエル大会のもの、男子の試合などを見て研究しています。それと、1年近く競技から離れていたので体力を取り戻すために週3回ぐらい家の近くを5〜6キロぐらい走っています。

――ビデオを見て研究するのは以前から好きでしたか?

北崎 中学の頃は何も考えずにプレーしていました。高校の頃に日本代表を意識するようになってから、周囲の意識の高さに触発されて『自分もやらなきゃ』と思い見始めました。一番影響を受けているのは、ヒューペリオン東京でも日本代表でもチームメイトで同期のちーちゃん(QB磐田千紘)です。ちーちゃんは昔から男子のチームの中に入ってプレーしたり、プレーコールもコーチの指示に従うだけでなく、自分で考えて実践したりしています。フラッグIQが一人だけ別なレベルにあると思います。

――自分より大きな海外の選手と対戦することについては楽しみですか? 不安ですか?

北崎 私は代表の中で155cmと2番目くらいに身長が低いのですが、イスラエル大会の動画を見ていると身長の高い日本代表選手も高さで負けていました。自分はどうなってしまうのだろうと思います。ただ、ラッシャーとしては潜り込むようにして見えないところからラッシュできるという点では生かせると思います。

――クラウドファンディングでたくさんの支援金が集まったことについては?

北崎 応援してくださる方がたくさんいることを実感し、『本当に代表なんだ』と認識することができ、中途半端にはできないという気持ちになりました。

――ワールドゲームズではどんなプレーをしたいですか?

北崎 どのぐらい出場機会があるかわかりませんが、1試合2QBサックが数字的な目標です。一方で、ラッシャーの役割はQBサックするだけではないと思っています。とにかくQBにプレッシャーを与えて守備全員で守りたいです。